今回の記事「FACTFULNESS」ハンス・ロスリング
今回は、「FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」です。
2020年の年間ベストセラー・ビジネス書で1位になっている本なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
内容としては、人が様々な情報をインプットするときの先入観・偏見をなくして、正しく理解・判断しよう、というものです。
自分の殻に閉じこもるよりも、正しくありたいと思う人へ。世界の見方を変える準備ができた人へ。感情的な考え方をやめ、論理的な考え方を身につけたいと思う人へ。謙虚で好奇心旺盛な人へ。驚きを求めている人へ。
ぜひとも、ページをめくってほしい
「FACTFULNESS」ハンス・ロスリング
ということで、世の中の情報を正しく理解したいという方におすすめです。
ただ後でも書きますが、正直、最後まで読み切るのはなかなか大変だと思いましたね。。
なので、気負い過ぎず、ちょっとずつ読み進めて行くぐらいがいいのかもしれませんね。
今回の記事は、こんな方におすすめ
・正しく情報を理解したい方
・組織を動かしていく立場の方
概要
人は祖先の頃に身に着けた、危険を回避したり、情報を効率に処理する本能があり、その本能により無意識的に様々なパターン分けや重要性の有無を判断してしまっています。
本書の内容としては、人の持つ①~⑩の本能による思い込みに気付き、事実に基づいた世界の見方を身につけようというものです。
①分断本能
②ネガティブ本能
③直線本能
④恐怖本能
⑤過大視本能
⑥パターン化本能
⑦宿命本能
⑧単純化本能
⑨犯人探し本能
⑩焦り本能
なお、①~⑩のそれぞれが章となっており、最後の章(第11章)で「ファクトフルネスを実践しよう」という構成となっています。
全部で300頁以上ありますので、正直読むのは大変です。
普段の自分では考えないような諸外国の状況についての話も多いので、すらすら読めるかというと、そうでもないです。
しかし、クイズやグラフ等、読者の理解を助けるための工夫もされていますので、理解できないということはないかと思います。
(気合いを入れて読まないと、頭に入ってこないかもしれませんけどね。。)
ただ、内容としては、非常にためになると思いますので、時間をかけてでも全部お読みいただきたいところです。
またこの記事では、当然のことながら細かい事例やデータはご紹介できていませんので、本書でご確認くださいね。
内容について
「分断本能」について
10の本能のうち、今回は前半から3つを選び、記事を書いていきたいと思います。まずは「世界は分断されているという思い込み」、「分断本能」についてです。
人は誰しもが、ドラマチックに物事を2つにグループ分けしてしまうとされており、本書では下記の例があげられています。
いまや、世界のほとんどの人は中間にいる。
「西洋諸国」と「その他の国々」、「先進国」と「途上国」、「豊かな国」と「貧しい国」のあいだにあった分断はもはや存在しない。だから、ありもしない分断を強調するのはやめるべきだ。
「FACTFULNESS」ハンス・ロスリング
身近な例でいえば、上場会社となんとなく「すごい会社」として、上場していない中小企業を「普通の会社」といった形で分断してグループ化していないでしょうか?
しかし、この「普通の会社」の中も大小様々で、数千人の会社から、数人の会社もあり、大きく一つの区分にすることは適切ではないと思います。
また、「普通の会社」の中で売上高の上位の会社は、「すごい会社」の下位にも勝っている場合もあるでしょう。
というように、ドラマチックに2つに分断して考えてしまいがちなところを「平均」や「極端な数字の比較」に注意して正しく数値を使って考えてみようということが記載されています。
ファクトフルネスとは・・・・・話の中の「分断」を示す言葉に気づくこと。
それが、重なり合わない 2つのグループを連想させることに気づくこと。多くの場合、 実際には分断はなく、誰もいないと思われていた中間部分に大半の人がいる。
「FACTFULNESS」ハンス・ロスリング
分断本能を抑えるには、大半の人がどこにいるか探すこと。
ということで、自分の判断の中で、「分断」してしまっていないか、それぞれに共通する要素はないのか、中間の存在を忘れていないか、振り返ってみるといいかもしれませんね。
「ネガティブ本能」について
次は「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み「ネガティブ本能」です。
これは、物事のポジティブな面より、ネガティブな面に注目しやすいという本能に基づいた思い込みです。
ニュースで取り上げられている内容を見ていると分かりますが、明らかに悪い内容の方が取り上げられやすいです。
例えば、飛行機の事故が起こった場合や、事故の危険性があったことは報道されると思いますが、飛行機の事故はありませんでした、今日も点検は完璧でした、といった内容は報道されるでしょうか?
会社で言えば、クレームが生じたことには目がいきやすいですが、その裏にある顧客数の増加や案件数の増加といったプラス要素にも同様に着目しているでしょうか?
ファクトフルネスとは・・・・・ネガティブなニュースに気づくこと。
そして、ネガティブなニュースのほうが、圧倒的に耳に入りやすいと覚えておくこと。物事が良くなったとしても、そのことにつ いて知る機会は少ない。すると世界について、実際より悪いイメ ージを抱くようになり、暗い気持ちになってしまう。
ネガティブ本能を抑えるには、「悪いニュースのほうが広まりやすい」ことに気づくこと。
「FACTFULNESS」ハンス・ロスリング
なので、物事を捉えるときには、ネガティブな面だけでなく、ポジティブな面にも意識を向けること、過去の美化された記憶でなくデータと比較して、判断するように心がけたいですね。
「過大視本能」について
今回の記事の最後は「過大視本能」です。これは「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込みです。
私は本書を読んでいて、普段特に気を付けていることが、この本能のことだなと納得しました。
本書では、限られた時間と労力で、どのように患者と向き合うか、地域医療についての例が挙げられています。
「いいや違うな。 限られている時間と労力をすべて、病院にやってくる人のために使うほうが、医者として 失格だ。 同じ時間を、病院の外の衛生環境を良くすることに使ったほうが、よっぽど多くの命を救える。病院で亡くなる子供だけじゃなく、地域全体で亡くなる子供に対して、わたしは責任があるんだ。目の前にある命と同じくらい、目に見えない命は重い」
「FACTFULNESS」ハンス・ロスリング
これは、考え方の違いもあると思いますが、医者として、地域全体のできるだけ多くの子供を救うか、病院にやってきた目の前の子供に注力するのかといった話です。
目の前の患者だけに注力せず、地域全体の救える命を考えることは冷徹な考え方なのでしょうか?
多くの患者を救うという目的からすると、病院にやってくる人だけに注力することは「過大視」しているように考えられないでしょうか?
またパレートの法則(80・20ルール)を活用することが、この「過大視本能」に対するテクニックだとされています。
ちなみにこのパレートの法則とは、例えば、会社の8割の売上は、上位2割の顧客から構成されているといった内容です(なので、いわゆる80・20ルール)。
またこれは身近な例えで言うと、売上の8割を上げてくれる顧客には、その他の顧客より手厚く対応して、関係の継続に注力することが考えられます。
もちろんお客様ごとに上下はないのですが、時間や人は限られていますから、目の前のお客様に全員に全力を尽くすことはできないでしょう。
しかし、そういった意識をせず、つい目の前の顧客に対応に注力していないでしょうか?
これが身近な「過大視本能」なんだと読んでいて私は感じ、意識的に気をつけないといけないことだと思いました。
また資格試験でも、これは同様ですね。ついつい一つの科目を極めようとしてしまっている方をよく見かけます。
あくまで、全体として合格点に達することが必要なのに、とにかく苦手を克服しようとか目の前の点に注目してしまいがちです。
今思えば、私自身も公認会計士試験で、この過大視本能にやられてましたね…
ファクトフルネスとは・・・・・・ ただひとつの数字が、とても重要で あるかのように勘違いしてしまうことに気づくこと。
ほかの数字と比較したり、割り算をしたりすることによって、同じ数字からまったく違う意味を見いだせる。
「FACTFULNESS」ハンス・ロスリング
過大視本能を抑えるには、比較したり、割り算をしたりすると いい。
以上、本書の前半から、3つの本能を抜粋して書かせていただきました。
また後日、後半についても書きたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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